秋の檜扇(ヒオウギ)

ヒオウギは祇園祭の時に飾るアヤメ科の多年草で、厄除けの植物とされています。秋になると花はなくなり、黒い実がなります。

檜扇(ひおうぎ)という名は、盛夏に黄色や橙色の花が咲き、扇状の葉を持つことからその名が付きました。

秋に付ける黒い種は射干玉(ぬばたま)と呼ばれ、和歌で「夜」や「黒」等にかかる枕詞「ぬばたまの」は、この種の色に由来するとも言われています。黒いことから髪の枕言葉として用いられることも、 髪のほかに「夢」などの言葉にもかかるようです。

ぬばたまの 黒髪変り 白けても 痛き恋には 逢ふ時ありけり

射干や 狭庭の隅に 薄明り   (高木 伸宜)

根茎には消炎,解熱,去痰などの作用があり,咽喉痛,咳,痰,リンパ腫,腫れ物などのほか,月経不順,下痢,水腫などにも用いたとあります。 皮膚化膿症には粉末を塗布し、 まぶたの出来物(ものもらい)には種子を毎日10粒ほど服用したと書かれていました。

次の記事

菊の花